2019年12月1日日曜日

2020年からの一般NISA、つみたてNISAシミュレーション~有利なのはどちら?~

少額投資非課税制度。
一般NISAは2014年1月からスタートし、つみたてNISAは2018年1月からスタート。
詳しくは金融庁のサイトをどうぞ。

一般NISAとは?
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html
つみたてNISAとは
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

一般NISAは年間120万円まで、5年先まで非課税。
2020~2023年の4年間制度が使える。
つみたてNISAは年間40万円、20年先まで非課税。
2020~2037年の18年間制度が使える。

現在、NISA制度の改正、延長が議論されている様子。
今回は制度改正などがなくこのまま終了するものと想定して、シミュレーションを行ってみる。

金額設定のため、架空の人物設定

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ここで、唐突に架空の人物「堅物兄さん」登場。
この「堅物兄さん」の人生を想定したシミュレーションを行う。

1992年(平成4年)生まれで、2020年に28歳になり、2057年には65歳になる。
2014年に22歳で大学を卒業し、堅い就職をする。年60万円ペースで貯蓄。
2023年、31歳で結婚する。貯蓄ペースは落ちる。
2025年、33歳。子供に恵まれ、住宅ローンを組み自宅を購入する。
    若干背伸びしたため、ほとんど貯蓄はできなくなった。
2028年、2人目の子供も生まれることになる。
2037年、45歳、第一子が中学生となり食費や教育費もかさむようになった。
2054年、62歳、第二子が26歳でようやく大学を卒業し、大きな支出の心配もなくなった。
2057年、65歳、定年。やれやれ。

2014年就職時、ニュースでNISAなる制度ができたことを耳にするが、
当時はまだ手元に資金がなく、また投資そのものが自分からは縁遠いものと思っていた。
2019年、いわゆる「老後2000万円問題」なるものが報道され、不安に感じた。

2019年現在、堅実に過ごしたおかげで余裕資産が300万円ある。
貯蓄を正しく投資に回すと、増えるってきいたことがある。
そういえばNISAとかいう有利な制度があるんだっけ?
もしこの制度使ったら、将来どのくらいになるんだろう。
一般NISA?つみたてNISA?どっちが有利なんだ一体。
2000万円まで増えてくれるならそっち選びたい。
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シミュレーション設定

2020年から2023年まで一般NISAを使い、2024年からつみたてNISAを利用する場合と、
2020年から2037年までずっとつみたてNISAで積み立て続ける場合で
どちらの利益が大きくなるか?をシミュレーションする。

以下、シミュレーションを行う条件。
・NISA枠は最大限利用し、残りの投資資金は特定口座で運用する
・どちらのNISAも、何らかの手段を用いて年初一括投資とする
・リターンは全世界株式を想定し、年間5%とする。
・非課税運用(NISA)では課税されないため年5%運用を想定、
 課税運用(特定口座)利益に税金がかかるため年4%運用を想定する
・投資資産は2020年初期投資額として300万円、
 2021,2022,2023年は60万円ずつ追加、
 2024年は40万円追加、
 2025~2037年は6万円ずつ追加、
 合計投資元本は598万円とする。
・比較期間は2020年~2057年。
・その他、比較用データ。
 投資利益に課税がなかった場合(年5%運用し、課税なし)
 特定口座で課税繰越運用した場合(年5%運用し、最終年に利益確定)
 特定口座で通常運用した場合(年5%運用し、毎年利益確定。→便宜上、年4%運用で計算)
 一般NISAが、投資先をつみたてNISAと同様の制限となり継続した場合
 (資金がショートする2024年のみ、つみたてNISA、それ以外の年は一般NISA利用)


シミュレーションの前に、単純な計算を行う。
一般NISAの投資枠1年あたり利益を計算する。
120万円を年5%で5年保有すると153万1538円となり、利益額は 33万1538円
つみたてNISAの投資枠1年あたり利益を計算すると、
40万円を年5%で20年保有すると106万1319円となり、利益額は 66万1319円

単純にNISA枠の利益額のみを計算すると、
4年間一般NISA、14年間つみたてNISAで1058万4618円
18年間つみたてNISAの場合1190万3742円
それぞれの枠を最後まで保有した場合、つみたてNISAのほうが利益額は大きい。

だが、一般NISAは年間の投資額が大きい都合、早い段階で資産が大きくなる。
具体的にどうなるのか?以下がその表・グラフとなる。

シミュレーション結果(グラフ)

グラフ。左は単位は万円。
一般積立:一般NISAを使ってから、2024年からつみたてNISAに移行
積立のみ:NISAに関してはつみたてNISAのみを利用
 投資額:投資元本。投資を一切しなかった場合の額面に相当。

まずは合計額。


2034年までは一般NISAを使ったほうが、
2035年からは積立NISAのみで使ったほうが多い。
ほとんど誤差といっていい。
投資元本に比べれば格段に増えているため、投資を行うことは重要。


投資期間中の
NISA評価額 (オレンジ) と、
特定口座評価額 (青) のグラフ。



まずは一般NISA→つみたてNISA。
初めのころはほとんどNISA利用となり効率が良い。


次はつみたてNISAのみ利用の場合。
特定口座が生んだ利益があるため、
598万円の投資元本で720万円分のつみたてNISA枠を利用できている。

シミュレーション結果(表)

以下、表に各種計算結果。
西暦年の他、架空の人物「堅物兄さん」 の年齢も記載。
比較用のデータとともに今回のシミュレーション結果を置いておく。
各項目説明。

年     :西暦。
年齢   :架空の人物「堅物兄さん」の年齢。1992年(平成4年)生まれ設定。
投資額  :今回の試算のために恣意的に設定した、その年までの合計投資元本。
無税   :投資全額に税金がかからなかった場合、年5%運用。
課税繰越:利益確定を先延ばしし年5%運用し、指定の年に利益確定したパターン。
         尚、利益確定前は 無税 と同じ額面となる。
特定   :毎年利益確定した場合。年4%運用相当。
一般継続 :今後も120万円で非課税期間5年の制度が継続した場合のシミュレーション。
        資産がショートする2024年のみ、つみたてNISAを、それ以外を一般NISAを利用。
        2024年までは一般NISA→積立NISAと同じ運用をしていることになる。
一般積立:一般NISA→2024年からつみたてNISAを利用した場合。
積立のみ:一般NISAを使わず、つみたてNISAを毎年利用した場合。

年齢投資額無税課税繰越特定一般継続一般積立積立のみ
202028300315312312313.2313.2312.4
202129360393.8387386.9390.6390.6388.1
202230420476.4465.2464.8472.4472.4467.3
202331480563.3546.6545.7558.9558.9550.1
202432520633.4610.7609.2628.6628.6615.9
202533526671.4642.3639.8665.8665649.5
202634532711.3675.4671.6704.4702685
202735538753.1710.1704.7744.6739.5722.5
202836544797.1746.5739.1786.2777.5762
202937550843.2784.6775831.1817.6803.8
203038556891.7824.6812.2877.7859.8847.8
203139562942.6866.5850.9926.3904.2894.4
203240568996910.4891.2976.8951943.5
2033415741052.1956.5933.11029.31000.3995.3
20344258011111004.8976.610841052.31050
2035435861172.91055.51022114111071107.7
2036445921237.81108.71069.11200.21164.61168.5
20374559813061164.41118.11261.81225.21232.8
2038465981371.31216.61162.81319.71282.51293.9
2039475981439.91271.51209.313801342.41358.1
2040485981511.91329.11257.71442.71405.21424.4
2041495981587.51389.613081507.91470.91492.8
2042505981666.81453.11360.31575.81539.81563.6
2043515981750.21519.71414.71646.51611.91636.6
2044525981837.71589.71471.317191686.31712.1
2045535981929.61663.31530.21794.41763.21789.9
20465459820261740.41591.41872.81842.51870.4
2047555982127.31821.516551954.31924.41953.4
2048565982233.71906.61721.22039.12008.92039
2049575982345.41995.91790.12127.32096.22127.5
2050585982462.72089.71861.72219.12186.22218.7
2051595982585.82188.21936.12314.522792312.8
2052605982715.12291.72013.62413.72374.72409.9
2053615982850.82400.32094.12516.82473.52510.1
2054625982993.42514.32177.92624.22575.32613.4
2055635983143.1263422652735.82680.32719.9
2056645983300.22759.82355.62851.82788.52829.7
2057655983465.22891.82449.82972.52900.12942.9


以上、2020年からの一般NISA、つみたてNISAシミュレーション~有利なのはどちら?~
の、シミュレーション結果。
結論としては「前半は一般NISA利用、後半はつみたてNISAのみが有利」だった。
どちらを選んでも定年までに2000万円到達するうえ、
差もほとんど誤差なので好みで決めていいと思う。


また、堅実な人であれば今回設定した投資元本598万円以外にも
貯蓄をしているはずなので、老後資金の心配は全く必要ない。

ちなみに私は一般NISAを選んでいる。
理由は、この辺の理由でより有利と考える為。
・今後14年先まではシミュレーション上で勝っていること
・一般NISAの(中身は変わるとはいえ)制度継続が検討されていること
・2026~2042 年まで、およそ500万円の特定口座評価額がある。
 これを「課税繰越」する方法で運用すると、シミュレーションより利益改善が見込める


その他読み取れること。
2057年時点の課税繰越、と特定、では443万円の差がある。
長期間の投資では、課税繰越(利益確定の先送り)によってリターンの改善が見込める。

また、2057年時点の無税、と特定、では1000万円以上の差がある。
計算上、年間リターンは5%と4%、わずか1%の差だが、最終的にこの差が出る。
コストの低い投資信託を選ぶことの重要性を示している。