2019年11月4日月曜日

理論上最強?話題のレバレッジバランスファンドを比較する(1)

理論上最強に見える、話題のレバレッジバランスファンドを比較する。
また、不明点(企業秘密?)を探る。

今回は投資基本知識と、各ファンドの所感・考察 。

現在出ているものは3種類。
・グローバル3倍3分法ファンド
 https://www.nikkoam.com/products/detail/944432
・ウルトラバランス 世界株式
 https://www.astmaxam.com/fund/
・楽天・米国レバレッジ・バランスファンド(USA360)(米バラ360)
 https://www.rakuten-toushin.co.jp/beginner/special/usa360/

各ファンド比較の前に、まずは投資理論を大雑把に確認する。
あなたは以下の文章を読み飛ばしてもいいし、
あとで各用語(特に「」内の用語)に検索をかけて詳しく調べなおしてもいい。
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「現代ポートフォリオ理論(MPT)」 に基づき分散投資すると、
各資産単独よりリスクリターン比が改善する。
これらを2次元の表に示し、最善のものを結んでいくと
「効率的フロンティア」 と呼ばれる曲線が出てくる。
レバレッジをかけない場合、どの資産を選んで投資しても
「効率的フロンティア」 上のものよりも、
同じリスクの場合はリターンが低いもの、
同じリターンの場合はリスクの高いものしか存在しない。
※ここでいう 「リスク」 とは、資産変動幅のことで、
危険性やマイナスリターンを直接的に示すものではない。
「効率的フロンティア」 のうち、
最もリスクの低いものを 「最小分散ポートフォリオ」 と呼び、
リスクゼロで得られるリターンの点から 「効率的フロンティア」 への
接線を引いた時の接点のポートフォリオを
「接点ポートフォリオ」 と呼び、「資本資産価格モデル(CAPM)」 が成り立つ場合には
「市場ポートフォリオ(マーケットポートフォリオ)」 と一致する。
また、この接線を 「資本市場線」 と呼ぶ。
レバレッジをかけない場合のリスクリターン比が最善となるのは
「効率的フロンティア」 上の点だが、
レバレッジを許容する場合にはリスクリターン比が最善となるのは
「資本市場線」 上の点になる。


グローバル3倍3分法の図 
楽天・米国レバレッジ・バランスファンド(USA360)(米バラ360)の図

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各ファンドの気になる点、まとめ


各ファンドファンドを見てみる。
2019.11.4時点で確認できる、
各目論見書、特集サイト、月次レポート等から気になる点を抜き出した。

グローバル3倍3分法ファンド



一番初めに出てきたレバレッジバランスファンド。
大まかな投資先のバランスが書いてある。具体的な記載のあるものは
海外先進国株式:MSCI-KOKUSAI(ヘッジなし) 日本株を除く先進国株式に投資。アメリカが2/3ほど。
海外新興国株式:MSCIエマージング 中国、韓国、台湾、インド、ブラジルで7割投資。他の国は3割。
他の日本株、国内外REIT、世界国債についてはどの指数を用いて運用するか、の記載が見られない。
実際に運用している先がどれを用いているかは不明。
運用報告書では、
 使用した指数は、参考として掲載したものであり、当ファンドのベンチマークではありません。
との記載付きでグラフに並べている。それによると

日本株式:東証株価指数(配当込み)
日本リート:東証REIT指数(配当込み)
海外先進国リート:S&P先進国REIT指数(配当込み、除く日本、ヘッジなし・円べース)
世界国債:FTSE世界国債インデックス(含む日本、円ヘッジ、円ベース)

おそらくはこれに似たものに投資しているのだろう、と判断するしかない。
国内債券の残存年数は1年、2年、3年、4年、5年、10年のものが存在するで
あろう記載が運用報告書にあったが、その割合や平均残存年数は不明。
担当ファンドマネージャーは2018年11月30日時点で16.6年の経験があるらしい。
長いね。
先進国株式と新興国株式以外の投資先について、具体的な設定がされていない為
ファンドマネージャーに依存するリターン部分が存在する可能性がある。
ただ、大まかな枠は決まっているから、それほど心配はしていない。

(2019.11.15追記)
【イベントレポート】山崎元が斬る!グローバル3倍3分法
 10月26日のイベントの、公式レポートが公開された。
これによると、日本株はTOPIX先物、
各国国債は10年物の先物を3カ月ごとにロールオーバー
(おそらく残存9年9カ月になったものを売り、残存10年物を買い調整)
しているとのこと。
一読の価値あり、というかこんなブログ読むならこのレポート読むべき。
実際に運用した結果をもとに質疑応答がなされているので、
このファンドに投資する人はもちろん、投資しない人にとっても有意義な内容になっている。

ウルトラバランス 世界株式



ドローダウン(最大下落率)に気を使って組成されている。
また、具体的な投資先も明示されている。
株式部分の投資先は、値動きが比較的小さく、かつ異なる値動きをする確率が高い銘柄に
分散投資する株式ETF(iShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバルETF:ACWV)。
各国債は10年物。
金先物はCOMEX金先物
きっちりと投資先・指数が設定されており、ファンドマネージャーに成績が依存することはほとんどなさそう。
難点として、
米国ETFを介する都合、株式ETFの信託報酬がかかりコスト高。
また、配当金に米国の10%税金がかかることもコスト高になる。
現在配当利回り2.14% らしいので、そこから計算すると
投資割合0.8 *米国比率0.65 *配当利回り0.0214 *米国課税0.1 = 0.11128%
の隠れコストが存在していることになる。


楽天・米国レバレッジ・バランスファンド(USA360)(米バラ360)



米国ETFのVTIと、米国債に1:3で投資。
合計投資総額が360%と、3つのなかでは一番大きくなる。
特集ページのシミュレーションでは米国債の残存期間は
5年物と10年物に1:1で投資したものを使っている。
投資比率はおそらく以下のようになるんだろう。
VTI:米国債残存5年:米国債残存10年 = 90%:135%:135%
尚、VTIはアメリカ上場の株式全体に投資する商品の模様。
REITも若干含まれているみたい。
あとはウルトラバランス同様の難点として、
米国ETFを介する都合、株式ETFの信託報酬がかかりコスト高。
また、配当金に米国の10%税金がかかることもコスト高になる。
現在配当利回り1.80% らしいので、そこから計算すると
投資割合0.9 *配当利回り0.0180 *米国課税0.1 = 0.160%
の隠れコストが存在していることになる。

続き→理論上最強?話題のレバレッジバランスファンドを比較する(2) 

(2019.11.15追記)
【イベントレポート】山崎元が斬る!グローバル3倍3分法
の発表があったので一部内容を修正。