2020年10月22日木曜日

投資信託でさらなるリターンを得る、証券会社の選び方

 投資信託は低コスト化が進み、かつて「リレー投資」等といわれた手法が必要なくなるレベルにまでなっている。
(リレー投資;昔使われていた、信託報酬コストを削減する手法。
    昔は投資信託の信託報酬が高く、それに比べるとETFの信託報酬が格段に安かった。
    信託報酬だけを考えるならETFの購入が有利だが、ETFは購入単位がある程度大きい。
    投資信託は信託報酬は割高だが1円単位で投資できる。
    そのため、ETF購入できない端数を投資信託で購入→貯まったら売却してETF購入資金にする、
    という手法で運用資金の最大化とコストの削減を行い、リターンを増やそうとした投資法。)

インデックス投資家向けの投資信託は、現在、そのほとんどが購入・解約手数料がゼロで、
信託報酬もETFと同等、またはETFよりコストが低い場合すらある。
そんな投資信託への投資で、さらなるリターンを得る方法とは?

その方法は、

投資信託を保有するのに有利な証券会社を選ぶ

こと。


証券会社の中には、投資信託を保有しているだけで優遇してくれるところがある。
SBI証券、楽天証券、松井証券では、
投資信託の保有で、各種還元サービスという優遇が受けられるものがある。
この優遇を最大限受ける為に、投資信託を保有する証券会社を適切に選ぶことで、さらなるリターンの改善の可能性がある。
ただし、証券会社ごとに取り扱い銘柄が違うため、欲しい優遇が受けられないこともある。
今回は3社比較、3社で同一の銘柄全て取り扱っているものとして考えておく。
尚、以下に表示する%は別記がない限り、年率。

有名どころは、こんな感じ。
気になる銘柄も一部併記してみよう。。

証券会社別、投資信託還元サービス


楽天証券;ハッピープログラム
ハッピープログラム
https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/intermediation/happyprogram/
毎月、残高10万円ごとに4ポイント(楽天)
→年に換算すると48ポイント、0.048%の還元。

SBI証券;投信マイレージポイント
投信マイレージサービス
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_home&cat1=home&cat2=service&dir=service&file=home_fundmileage.html
各投資信託ごとにポイント進呈率(Tポイント)を設定している。
低コストファンドは付与率が低く設定されている。
最低0.01%、通常の最大付与率は0.1%で、
投資信託の月間平均保有金額が1000万円以上の場合、
1000万円以下のとき0.1%付与の通常銘柄が、0.2%付与となる。

松井証券:投資信託 毎月現金還元サービス
投信毎月現金還元サービス 対象銘柄一覧
https://www.matsui.co.jp/service/fund/cashback/list/
松井証券が受け取る販売手数料を0.3%までとし、それを超える分を現金還元
最大で0.7%還元らしい。
この現金還元は、貸株の受け取り金利同様、雑所得扱い。
運用金額が大きい人、他の雑所得の大きい人は注意。
(他のポイントの税制上の扱いはどうなのか?良く分からない。)

どの証券会社で、どんな投資信託の保有が有利になるか?


実際に考えていこう。

楽天証券;
超低コスト投資信託の保有が有利。
具体的には、SBI証券のマイレージ付与率が0.01%、0.02%、0.03%の銘柄。
(20本程度)

松井証券;
高コスト投資信託の保有が有利。
具体的には、松井証券の投信毎月現金還元サービス 対象銘柄
のうち、0.2%以上の還元のされるもの。
また、投資信託保有額が1000万円以下の場合は、0.1%以上還元されるもの。

SBI証券;上記2社が得意としない、その他の銘柄すべて。
SBI証券にて通常銘柄、と分類されるもののほとんどは、SBI証券が有利。


具体的な銘柄は?

楽天証券;以下のもの。
この3社で楽天証券が最も有利となるのは20本程度
該当するものを、SBI証券のページからコピペ。

■SBI証券では0.03%付与となるもの
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内債券インデックス
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・One-たわらノーロード 全世界株式
・One-たわらノーロード 先進国株式
・楽天-楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド
・楽天-楽天・新興国株式インデックス・ファンド
・楽天-楽天・全世界株式インデックス・ファンド
・楽天-楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド
・楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド
・楽天-楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
・楽天-楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
・楽天-楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)
・ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
・ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド
・ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)
・りそなAM-Smart-i 国内債券インデックス
(全19本)

■SBI証券では0.02%付与となるもの
・SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド
・SBI-SBI・先進国株式インデックス・ファンド
・SBI-SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
(全4本)

■SBI証券では0.01%付与となるもの
・SBI-SBI・新興国株式インデックス・ファンド
(全1本)


松井証券
投信毎月現金還元サービス 対象銘柄一覧
https://www.matsui.co.jp/service/fund/cashback/list/
このページでは、還元額が大きい順に並んでいる。
そもそもの注意点として、このサービスは信託報酬の大きい投資信託が対象となっている。
資産形成では、信託報酬の小さい銘柄を選ぶのが王道。
そのため、このサービスの対象となっている銘柄を選ぶこと自体が資産形成に対して不利な可能性は高い。
ただし例外もあるので、自身の好みや運用方針に合うなら、選んでもよいだろう。
気になる銘柄を挙げてみると
・ひふみワールド+
・投資のソムリエ
グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)
・iFreeレバレッジ NASDAQ100
・iFreeレバレッジ S&P500
のあたり。

SBI証券
有利な銘柄が一番多い。
例えば
グローバル3倍3分法各種
USA360
ウルトラバランス各種

等の比較的メジャーなレバレッジバランスファンドはSBI証券が有利。
また、SBI証券での投資信託の月間平均保有金額が「1000万円」以上となると、
SBI証券で通常銘柄、と分類される銘柄部分への付与率が0.1%→0.2%と上昇する。
合計保有金額が1000万円まであとちょっと、という場合は
他社保有が有利な投資信託であっても、その分をSBIで保有して
SBIでの保有金額を1000万円以上にすると、通常銘柄部分の付与率が上昇するため
合計の還元金額で有利になる可能性がある。

(注意:執筆時点の状況。対象銘柄は証券会社等の都合により、随時変わる可能性がある。)

既に保有する銘柄を、他の証券会社に移動させて割に合うか?


保有する投資信託を、他の証券会社に移す場合、紙の書類で手続きが必要となるらしい。
さらに、手数料もかかる。
この手数料については、他証券会社→松井証券の場合、松井証券が負担してくれる…らしい。
金額的には負担がないので、松井証券に移す場合には、各種の手間を厭わないなら、
移してしまうのが有利。
今回は別の、手間の少ないパターンを考察する。
現在保有する証券会社で売却、現金を有利な証券会社に移し、有利な証券会社で購入するというパターン。

保有銘柄が利益が出ている場合、売却すると税金がかかる。
仮に、
グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)
を松井証券以外で保有していて、松井証券に移そう、と考えていた場合で概算。
投資額を100万円、20万円の利益のものを売却、116万円を移し運用した場合。
この投資信託のリターンを6%と仮定し、松井証券では現金還元分と合わせて6.3%で計算する。
移管前後の運用成績を、利益確定後の金額で試算してみると、13年先まではそのまま保有が有利、
14年目以降は松井証券が有利、となった。

10年以上、特定の証券会社での保有が有利な状態が続く、と考えるのは楽観的に過ぎる。
また、投資家の生活面の事情で、10年以内で資金が必要になったときに引き出す可能性もある。

結論としては、現在保有する銘柄は、無理に移す必要はない
そのまま保有で問題ない。
新規に積み立てていく資金については、有利な証券会社で積み立てていこう。

0 件のコメント:

コメントを投稿